2002年04月28日
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連邦軍小失敗の研究(5) モビルスーツ開発における系列混乱

Written By: トーノZERO連絡先

 正統があれば異端あり。異端の宇宙世紀史へようこそ。

 連邦軍はGMという傑作モビルスーツの開発に成功し、そのバリエーション展開で1年戦争を勝利に導いたと言われます。

 しかし、実際に連邦軍が生産したモビルスーツの状況を見ると、必ずしもそういう単純な話ではないことが分かります。

 資料を調べると、実は支援型モビルスーツであるGMキャノンは、GMのバリエーションではなくガンキャノンの量産型であることが明確に記されています。多くの部品をGMと共有したために、外見はGMに似通っていますが基本骨格構造はGMとは異なったものでした。

 その結果、GMとGMキャノンは、基本性能に微妙な相違があり、同一部隊で運用する場合、様々なトラブルの原因になったとされます。編隊飛行時には旋回半径が違うため、GMがGMキャノンに合わせる必要があったり、補修部品をGM用とGMキャノン用に別々にストックする必要が生じたり、操縦特性が違うためパイロットの融通がすぐにできなかったりしました。

 また、生産時にも、異なるラインが必要とされ、GMキャノンが足りないからと言って、すぐにGMのラインで生産することはできませんでした。

 その他、GMキャノンでは火力不足という批判があったため、ガンキャノンとその直接の改良型の生産も行われましたが、こちらの方は逆にGMと部品の共有をまったく行わなかったため、GMキャノンともまた互換性が無いということになりました。更に、それでも火力が物足りないということで、地上ではガンタンクの改良型を投入する場合もあり、宇宙ではボールも運用するということも行われ、混迷は深いものと言えました。

 星一号作戦を遂行するテアンム艦隊では、こうした混乱を嫌って、近接戦闘用にはGMだけを、火力支援用としてはボールのみを運用するというシンプルな部隊構成を選びました。その結果、多くの損害を出しながらも補修部品やパイロットの融通を戦隊間で柔軟に行うことができ、ソーラレイなどにより艦隊の骨格さえも揺るがすほどの大損害を受けつつも常に残存したGMとボールのほぼ全機を運用可能とし、ソロモンとア・バオア・クーの攻略という大事を成し遂げました。

 しかし、テアンム艦隊ほど思い切りよく割り切れなかった部隊では、相互に互換性のない複数の系列の機体を同時に運用することになり、様々な問題に巻き込まれました。実際に、宇宙では徹底的にジオン軍を追いつめた連邦軍が、地球上では相当数のジオン軍を取り逃して地下に潜伏させてしまった理由の1つと言えるでしょう。

 別の観点から見れば、これは、なぜ連邦軍が火力支援用モビルスーツの機種を絞り込めなかったのか、という問題とも言えます。これが、攻撃対象や、射撃距離の違いによるバリエーションなら当然あり得るものと言えます。しかし、これらにあまり差が見られない機種が複数平行して生産されたケースもあり、必ずしも目的別に異なる機種を生産したと言うわけでもなさそうです。

 この問題は、技術やニーズに起因する問題ではない、と言えるかもしてません。GMがザクを強く意識して開発されたのに対して、火力支援機については、特にジオン側に意識する機体が無かったため、連邦軍内にある様々な意見が噴出し、それがそのまま様々な機種の併存という結果になったのかもしれません。しかし、V作戦の段階で、既に異なる性格を持つガンタンクとガンキャノンという2種類の機体を試験しており、ある程度量産段階では必要な機体を絞り込めたはずです。その点で、改善の余地はあったと言えるでしょう。


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